![]() 血管形成および炎症に関連した病気を治療するための組成および方法
专利摘要:
血管形成および炎症に関連付けられた病気の治療のための医薬組成物および方法。それから利益を受けるであろう哺乳類の被験体における、VEGFに関連した血管形成および/または炎症性サイトカインに関連した炎症に関連付けられる病気の治療のための、(a)治療に有効な量のsCD26;(b)治療に有効な量のsFlt−1;および(c)製薬的に受容できる担体、を含む医薬組成物。それから利益を受けるであろう哺乳類の被験体に、医薬組成物を投与するステップを含む方法。 公开号:JP2011507960A 申请号:JP2010540772 申请日:2008-12-15 公开日:2011-03-10 发明作者:チウェン チャン, 申请人:チャン, チウェンCHANG, Chiwen; IPC主号:A61K38-00
专利说明:
[0001] (関連出願の説明) この出願は、発明の名称「血管形成および炎症に関連した病気を治療するための組成および方法」として2007年12月24日に出願された、米国特許出願第11/963,912の優先権を主張するものである。なお、この米国特許出願は、Chiwen Changによる発明の名称「血管形成および炎症の阻害剤としての可溶性CD26の使用」として2005年8月18日に出願された、継続中の米国特許出願第11/208,288の一部継続出願であり、その優先権を主張するものである。そして、上記出願の開示はその全てを参照して、本出願に含まれる。米国特許出願第11/208,288は、合衆国法典第35巻第119条(e)の規定によって、2004年8月26日に出願された米国仮出願第60/605,013の優先権を主張するものであり、その全てを参照して、本出願に含まれるものである。] [0002] 本発明は、一般的に、血管形成および炎症性サイトカインの阻害に関し、より具体的には、血管形成および炎症に関連した病気または疾患を治療するための医薬組成物に関する。] 背景技術 [0003] 血管形成は、既存の血管から生じることによる、新しい血管の形成である(Weinstate-Saslow, TheFASEB Journal 8:402−407,1994年; Folkmanら, Science 235:442−447,1987年)。新しい血管の形成は、血管内皮細胞の組織内への遊走、そしてそれに続く、そのような内皮細胞の血管内への濃縮を含む、多段階プロセスを伴う。血管形成は、血管形成剤によって誘発され得るもの、または自然な状態の結果であるかもしれない。その過程は、胚着床;胚形成および成長;ならびに創傷治癒のような、様々な標準的な普通の身体活動に不可欠なものである。その過程は、内皮細胞や毛細血管の初代細胞の成長および遊走を、刺激する分子および阻害する分子の複雑な相互作用を伴う(Folkman and Shing, J. Biol. Chem., 267(16):10931−34,1989年; Folkman and Klagsbrun, Science, 235,442−47,1987年)。] [0004] いくつかの血管形成剤が確認されている(Hanahan and Folkman, Cell, 86(3):353−364,1996年)。例えば、血管形成する内皮細胞を促進/活性化する多くの成長因子が確認された。これらは、例として、そして制限するものとしてではなく、次のものを含む;すなわち、血管内皮細胞増殖(成長)因子(VEGF);形質転換増殖因子(TGFβ);酸性および塩基性繊維芽細胞増殖因子(aFGFおよびbFGF);および血小板由来増殖因子(PDGF)である(Ferrara and Davis-Smyth, Endocr Rev. 18(1):4−25,1997年)。VEGFは、血管形成の主要な仲介物質(メディエーター)であると信じられている。VEGFに直接的に抗する抗体は、インビボで、腫瘍増殖を抑制すること、および実験的腫瘍において血管の密度を減少させることが示され(Kimら, Nature 362:841−844,1993年)、VEGF拮抗剤は、腫瘍誘発血管形成の阻害剤として治療的適用し得ることを示した。] [0005] 通常の血管形成活性は、健康な成人では低く、そして、妊娠期間中の子宮または激しく運動している骨格筋のようなある特定の器官に限定されている。しかしながら、血管形成活性は、損傷および癌、網膜症または関節炎のような病気の罹患中に増加し、それは病的変化の一因となる。それゆえ、血管形成は、創傷治癒を促進するような有益な効果と、例えば関節リウマチ、黄斑変性症、乾癬および糖尿病性網膜症のような炎症性疾患を引き起こす有害な効果の両方の効果を持ち得る。] [0006] さらに、血管形成は固形腫瘍の成長および腫瘍の転移にとって不可欠であることが示された(Bouckら、Adv Cancer Res.;69:135−74,1996年; Yancopoulosら、Nature 407(6801):242−8,2000年)。腫瘍によって誘発される血管形成は、腫瘍から、または炎症細胞浸潤から放出される成長因子およびサイトカインによって開始される(Brownら、Am. J. Path. 143:1255,1993年; Brownら、Human Path. 26:86,1995年; Leekら、J. Leukocyte Biol. 56:423,1994年; Hatvaら、Am. J. Path. 146:368,1995年;およびPlateら、Nature 359:845,1992年)。腫瘍細胞によって発現される成長因子およびサイトカインは、ヒヨコ絨毛尿膜モデルを含む多くの動物モデル、角膜ポケット血管形成モデル、および野生を含むモデルで血管形成を刺激し、ならびに異種移植された腫瘍の成長を刺激する(Brooksら、Cell 79:1157,1994年; Brooksら、Science 264:569,1994年; Brooksら、J. Clin. Invest. 96:1815,1995年;およびFriedlanderら、Science 27:1500,1995年)。したがって、血管形成は腫瘍の成長だけではなく腫瘍の転移に関係しているため、腫瘍関連血管形成は、腫瘍増殖、浸潤および転移を阻害する治療のための潜在的な標的である(Liottaら、Cell 64:327,1991年; Weinstat-Saslowら、FASEB J 8:401,1994年;Bloodら、Biochim、Biophys. Acta 1032:89,1990年; Folkman、Semin. Cancer Biol. 3:65,1992年;およびWeidnerら、N. Engl. J. Med. 324:1,1991年)。] [0007] 血管形成は、さまざまな病気または疾患に関与し、そのような病気または状態を血管形成阻害薬の投与によって治療され得ることは、よく認識されていた。血管形成が関与する病的な状態の例は、次のものを含むがこれらに制限されない。その例として、黄斑変性症、眼球の血管新生緑内障、糖尿病性網膜症、角膜移植拒絶反応、ビタミンA欠乏症、Sjorgen’s病、酒さ、マイコバクテリウム感染症、細菌性および真菌性潰瘍、単純ヘルペス感染症、全身性狼瘡、関節リュウマチ、変形性関節症、乾癬、慢性炎症性疾患(例えば、潰瘍性大腸炎、クローン病)、Osler−Weber Rendu病のような遺伝病、および出血性の毛細血管拡張症が挙げられる。] [0008] これらの病気または状態を治療する目的で、多くの血管形成阻害薬が発見された。例として、エンドスタチン(endostatin)(O'Reillyら、Cell 88:277,1997年)、アンギオスタチン(O'Reillyら、Cell 79:315,1994年)、ペプチドCNGRCVSGCAGRC(Arapら、Science 279:377,1998年)、環状ペプチドRGDfV(Friedlanderら、Science 270:1500,1995年)、ならびにモノクローナル抗体LM609およびP1F6(Friedlanderら、Science 270:1500,1995年)を含む。これらの薬は、前記病気の発症に関連付けられる、または関与する他の付加的な発症機序を処置することなく、前記病気の血管形成の側面のみを標的としているように思われる。] 先行技術 [0009] Weinstate-Saslow, TheFASEB Journal 8:402−407,1994年 Folkmanら, Science 235:442−447,1987年 Folkman and Shing, J. Biol. Chem., 267(16):10931−34,1989年 Folkman and Klagsbrun, Science, 235,442−47,1987年 Hanahan and Folkman, Cell, 86(3):353−364,1996年 Ferrara and Davis-Smyth, Endocr Rev. 18(1):4−25,1997年 Kimら, Nature 362:841−844,1993年 Bouckら、Adv Cancer Res.;69:135−74,1996年 Yancopoulosら、Nature 407(6801):242−8,2000年 Brownら、Am. J. Path. 143:1255,1993年 Brownら、Human Path. 26:86,1995年 Leekら、J. Leukocyte Biol. 56:423,1994年 Hatvaら、Am. J. Path. 146:368,1995年 Plateら、Nature 359:845,1992年 Brooksら、Cell 79:1157,1994年 Brooksら、Science 264:569,1994年 Brooksら、J. Clin. Invest. 96:1815,1995年 Friedlanderら、Science 27:1500,1995年 Liottaら、Cell 64:327,1991年 Weinstat-Saslowら、FASEB J 8:401,1994年 Bloodら、Biochim、Biophys. Acta 1032:89,1990年 Folkman、Semin. Cancer Biol. 3:65,1992年 Weidnerら、N. Engl. J. Med. 324:1,1991年 O'Reillyら、Cell 88:277,1997年 O'Reillyら、Cell 79:315,1994年 Arapら、Science 279:377,1998年] 発明が解決しようとする課題 [0010] それゆえに、前記の欠如および不足に対して技術的に対処するため、特に、癌、炎症性疾患および/または血管形成に関連した病気を治療するための薬剤候補の識別方法に関連付けられる、これまで取り組まれていない要求が存在する。] 課題を解決するための手段 [0011] 本発明の一側面は、そこから利益を得るであろう哺乳類の被験体(subject)における、VEGF関連血管形成および/または炎症性サイトカイン関連炎症に関連付けられる病気を治療する医薬組成物に関し、その医薬組成物は:(a)治療に有効な量のsCD26;(b)治療に有効な量のsFlt−1;および(c)製薬的に受容できる担体、を含有する。本発明の一実施形態において、炎症性サイトカインは、Xがアミノ酸で、Pがプロリンである、N−末端モチーフXPを含んでいる。例えば、サイトカインはIL−2であり得る。] [0012] 本発明の他の側面は、細胞でのVEGFおよび/または炎症性サイトカインの生物活性を阻害する組成物に関し、その組成物は:(a)有効量のsCD26;および(b)有効量のsFlt−1を含有している。] [0013] 本発明の一実施形態において、その細胞は、VEGFおよび/または炎症性サイトカインの生物活性の阻害からの利益を得るであろう哺乳類の被験体に存在する。本発明の他の実施形態において、哺乳類の被験体は、VEGFおよび/または炎症性サイトカインの生物活性に関連付けられる、および/または該生物活性によって進行させられる病気に苦しんでいる。本発明の一実施形態において、その病気は増加したインターロイキン活性に関連している。例えば、その病気は、増加したIL−2活性に関連付けられ得る。] [0014] 本発明の他の側面は、そこから利益を得るであろう哺乳類の被験体における、炎症性サイトカインの生物活性に関連付けられる、および/または該生物活性によって進行させられる病気を治療する医薬組成物に関し、その医薬組成物は:(a)治療に有効な量のsCD26;(b)治療に有効な量のsFlt−1;および(c)製薬的に受容できる担体、を含有する。] [0015] 本発明の一実施形態において、その病気は腫瘍および炎症性疾患からなる群から選択される。当該炎症性疾患は、関節リウマチ、黄斑変性症、乾癬および糖尿病性網膜症を含み得る。当該腫瘍性疾患は、固形腫瘍、腫瘍進行、腫瘍転移および血管形成前(prevascular phase)の潜伏性腫瘍を含み得る。] [0016] 本発明のさらに他の側面は、(a)治療に有効な量のsCD26;(b)治療に有効な量のsFlt−1;および(c)製薬的に受容できる担体、を含有する医薬組成物に関する。] [0017] 本発明の他の側面は、VEGF関連血管形成および/または炎症性サイトカイン関連炎症に関連付けられる病気を治療する方法に関する。その方法は、そこから利益を得るであろう哺乳類の被験体に、(a)治療に有効な量のsCD26;(b)治療に有効な量のsFlt−1;および(c)製薬的に受容できる担体、を含有する医薬組成物を投与するステップ(段階)を含んでいる。] [0018] 本発明のさらに他の側面は、細胞でのVEGFおよび/または炎症性サイトカインの生物活性を阻害する方法に関する。その方法は、細胞に、(a)有効量のsCD26;および(b)有効量のsFlt−1、を含有する組成物を投与するステップを含んでいる。] [0019] 本発明のさらにまた他の側面は、そこから利益を得るであろう哺乳類の被験体における、炎症性サイトカインの生物活性に関連付けられる、および/または該生物活性によって進行させられる病気を治療する方法に関する。その方法は、その被験体に、(a)治療に有効な量のsCD26;(b)治療に有効な量のsFlt−1;および(c)製薬的に受容できる担体、を含有する医薬組成物を投与するステップを含んでいる。] [0020] 本開示の新概念の精神および範囲から逸脱しない範囲で、ここに示されるものの変形および変更が影響され得るけれども、これらのおよび他の側面は、以下の図面と結び付けて、次に示される好ましい実施形態の記載から明らかになるであろう。] [0021] 添付した図面は、本発明の一つまたはそれ以上の実施形態を例示し、そして明細書の記載と共に本発明の原理を説明する働きをする。可能な限り、実施形態の同じまたは同様の要素を参照するための図面において、同じ参照番号が使用される。] 図面の簡単な説明 [0022] 図1は、脱落膜(decidual)白血球によって生産されたVEGFの検出に対する、栄養膜(trophoblast)共培養または栄養膜培養上清(trophoblast culture supernatant)の効果を説明する図である。レーン1:白血球のみ;レーン2:白血球+栄養膜;レーン3:白血球+JEG;レーン4:白血球+栄養膜上清(上澄み)。 図2Aは、特異的にsFlt−1に抗する抗体によって検出される、栄養膜培養上清のウエスタンブロット分析の結果を説明する図である。レーン1:栄養膜培養上清;レーン2:1ngのsFlt−1;レーン3:10ngのsFlt−1。 図2Bは、栄養膜細胞培養上清中のsFlt−1のエライザ(ELISA)検出の結果を説明する図である。レーン1:栄養膜培養上清;レーン2:培地のみ。 図3Aは、VEGFエライザ分析において、様々な量のsFlt−1でインキュベーションした後のVEGFの検出濃度を説明する図である。VEGFとのインキュベーションで使用されたsFlt−1の量は、レーン1〜6のそれぞれが10,3,1,0.3,0.1および0ngである。 図3Bは、HUVECsのVEGF依存増殖が、sFlt−1でのVEGFの前処理によって消失することを説明する図である。HUVECsは、基礎培地のみ(レーン1)、VEGF含有培地(レーン2)、sFlt−1処理されたVEGF含有培地(レーン3)、または抗VEGF抗体処理されたVEGF含有培地(対照、レーン4)、で培養された。 図4は、栄養膜培養上清中で、胎盤sCD26の存在を確認するためのステップを説明する図である。 図5Aは、膜結合性CD26および可溶性CD26、ならびに可溶性CD26によるXPモチーフの認識を説明する概略図である。 図5Bは、IL−2がモチーフXPを含有することを説明する図である。 図6は、CTLL−2細胞増殖の刺激において、IL−2活性が、sCD26での前処理によって消失することを説明する図である。細胞株CTLL−2が、IL−2含有培地(レーン1)、IL−2無し培地(レーン2)、またはsCD26前処理されたIL−2含有培地(レーン3)、で培養された。 図7は、エライザでの、妊婦からの血清によるVEGFの中和を説明する図である。 図8Aは、各々の試験群での、5検体の血清試料からのsFlt−1の平均量を説明する図である:妊婦(レーン1)、非妊娠女性(レーン2)および男性(レーン3)。 図8Bは、妊娠20週(レーン1)、妊娠30週(レーン2)および出産後10週(レーン3)の、妊婦の血清中のsFlt−1濃度(レベル)を説明する図である。] 図1 図2A 図2B 図3A 図3B 図4 図5A 図5B 図6 図7 [0023] 本明細書中で使用される用語は、本発明の文脈の中で、および各用語が使用される具体的な文脈中で、一般的に、技術上の通常の意味を有している。本発明を記述するために使用される特定の用語は、本発明の記載に関する実行者に追加の案内を提供するために、以下に、または本明細書の他の場所に記載されている。便宜のために、特定の用語は、例えば、イタリック体および/または引用符を使用して強調されているかもしれない。強調表示の使用は、用語の範囲および意味に何ら影響を与えない;用語の範囲および意味は、強調されているか否かにかかわらず、同じ文脈の中では同じである。同じことが二つ以上の方法で述べられ得ることが理解されるであろう。したがって、別の言語および同義語が、ここで論じられるどの一つまたはそれ以上の用語ために使用され得、そして、ここで用語が詳述される、または論じられるか否かにかかわらず、いかなる特別に重要な意味も課せられていない。特定の用語のために同義語が提供される。一つ以上の同義語の詳述は、他の同義語の使用を除外しない。ここで論じられるどの用語例も含めて、本明細書中のどこにおいてもその使用例は一例にすぎず、本発明の、または例示された用語の範囲および意味を決して制限しない。同様に、本発明は、本明細書中で示された種々の実施形態に限定されない] [0024] 別段の定義がない限り、ここで使用されるすべての専門用語および科学用語は、本発明に関係する当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有している。矛盾する場合には、定義を含めて本文書が制御する。] [0025] ここにおいては、「およそ」、「約」または「おおよそ」は、一般に、与えられた値または範囲の20%以内、好ましくは10%以内、より好ましくは5%以内を意味する。ここで与えられる数量は概算であり、特に述べられない限り、用語「およそ」、「約」または「おおよそ」が推論されることを意味する。] [0026] ここにおいては、「VEGFR1」、「sVEGFR1」または「sFlt−1」は、タンパク質、ペプチドもしくはポリペプチド受容体、選択的に接合(スプライス)された型、またはその生物学的に活性な誘導体を意味し、血管内皮増殖因子受容体タイプ1(Flt)活性、例えば、血管内皮増殖因子を結合する能力を有する。sFlt−1ポリペプチドの生物活性は、どの様な標準法を使用しても、例えば、VEGFに結合しているsFlt−1の分析によっても分析され得る。可溶性Flt−1は、Flt−1受容体の膜貫通領域および細胞質チロシンキナーゼ領域を欠いている。可溶性Flt−1は、高親和性で、VEGFとPlGFに結合できるが、増殖または血管形成を誘発することはできず、そのために、機能上、Flt−1およびKDR受容体と異なっている。ここにおいては、Flt−1は、どんなFlt−1ファミリーメンバーまたはアイソフォーム(isoform)も含む。可溶性Flt−1は、Flt−1受容体の酵素開裂から生じ、そしてFlt−1生物活性を維持する、分解生成物または断片(フラグメント)もまた意味し得る。可溶性Flt−1は、VEGF機能を無効にするために使用することができる] [0027] ここにおいては、用語「sFlt−1の生物学的に活性な誘導体」とは、ヒトsFlt−1から修飾された(変性された)アミノ酸配列を有する、生物学的に活性なタンパク質またはペプチド断片をいうものとする。] [0028] ここにおいては、用語「ヒトsFlt−1」は、ヒト起源のsFlt−1のアミノ酸配列を有する、生物学的に活性なタンパク質またはペプチド断片をいうものとする。] [0029] ここにおいては、「可溶性CD26」または「sCD26」は、DPPIV酵素活性を持つタンパク質、ペプチド、選択的に接合(スプライス)された型、またはその生物学的に活性な誘導体をいうものとする。CD26の可溶型は、プロリンまたはアラニン残基で、最後から2番目の位置でポリペプチドからN−末端ジペプチドを開裂することができる。sCD26の酵素活性は、通常、市販の化学的に合成された基質Gly−Pro−p−ニトロアニリン(Sigma、カタログ番号 G2901)の消化(digestion)によって分析される。] [0030] ここにおいては、用語「sCD26の生物学的に活性な誘導体」は、ヒトsCD26から修飾された(変性された)アミノ酸配列を有する、生物学的に活性なタンパク質またはペプチド断片をいうものとする。] [0031] ここにおいては、用語「ヒトsCD26」は、ヒト起源のsCD26のアミノ酸配列を有する、生物学的に活性なタンパク質またはペプチド断片をいうものとする。] [0032] ここにおいては、用語「VEGFの中和」は、VEGFがその受容体と結合するのを阻止し、その結果、VEGF依存細胞増殖のようなVEGF活性を消失することをいうものとする。] [0033] ここにおいては、「哺乳類の被験体」は、哺乳類の動物および人間を含む。] [0034] 本発明の範囲を制限することを意図するものではないが、本発明の実施形態に係る例示の機器、装置、方法およびそれらに関連した結果を以下に示す。題または副題は、読者の便宜のために例として使用され得るものであり、決して本発明の範囲を制限するものではないことに留意すべきである。さらに、ここに特定の理論が提案および開示される;しかしながら、それらの正否にかかわらず、どの様な特定の理論または実行計画であるかを問わず、本発明が本発明に従って実行される限り、それらは決して本発明の範囲を制限するものではない。] [0035] 物質および方法 組織試料が、Addenbrookes病院(ケンブリッジ、英国)からの、妊娠第1期(妊娠第1三半期)の選択的中絶から入手された。] [0036] 脱落膜白血球の単離 妊婦の脱落膜白血球の調製は、キングら(Hum. Immunol., 24(3);195−205、1989年)によって述べられている方法をわずかに修正して実行された。脱落組織の試料は、肉眼的試験によって選別され、外科用ナイフ(ブレイド)で小片に刻まれる前に、10−20分間、冷RPMI1640(Invitrogen、米国、カタログ番号 21875−034)中で洗浄された。約10gの刻まれた組織が、37℃下、30分間、回転インキュベーターにより、10%ウシ胎仔血清(FCS)(Harlan Sera-Lab, 英国、カタログ番号 S−0001A)、2mLのコラゲナーゼ(10μg/mL、Sigma, 米国、カタログ番号 C5138)、および0.5mLのデオキシリボヌクレアーゼI(3μg/mL、Sigma D5025)を含む、25mLのRPMI1640中で、消化された。試料管が短時間遠心分離され、数片の組織のペレット(沈殿物)を得て、細胞を含有する上清が100μmフィルター(Becton Dickinson、米国、カタログ番号 352360)を通してろ過された。フロースルー(flow−through)が、細胞をペレット化(沈殿)するために、650×gで5分間遠心分離された。さらに組織を分割するために、上清が、数回10mLのピペットを通された組織に戻された。その混合物は、37℃でさらに10分間インキュベートされた。試料管はそれから、短時間遠心分離され、組織のペレット(沈殿物)を得て、上清が100μmフィルターを通してろ過された。ろ過された上清が、細胞をペレット化(沈殿)するために、650×gで5分間遠心分離された。その細胞ペレットは、ヒト単核細胞(Axis-Shield Diagnostics、ノルウェー、カタログ番号 1114545)の精製に適した、既製の、殺菌済みの、そして内毒素検査された溶液である、15mLのLYMPHOPREPTMの上を覆うように加えられる前に、2%FCS(ウシ胎仔血清)および0.1%アジドを含む、15mLのPBS(リン酸緩衝生理食塩水)(Current Protocols in Molecular Biology, Wiley Press, p4.2.3、1996年)に再懸濁された。その試料管は、制動無しに710×gで20分間遠心分離され、細胞は界面に集められ、RPMI1640(10%FCS)で洗浄された。この方法で調製された脱落膜白血球は、約60%のナチュラルキラー細胞(CD56+,CD16−)、15−20%のマクロファージ(CD14+)、10%のT細胞および他の間質細胞からなっていた。] [0037] 胎児栄養膜細胞の単離 胎盤組織の断片が肉眼的に確認され、RPMI1640培地で数分間洗浄された。その組織は外科用メスの刃でこすり落とされ、次に、0.02%のEDTA(エチレンジアミン四酢酸)を含有する、20mlの前加熱された(37℃)0.25%トリプシン(Becton Dickinson、米国、カタログ番号 215240)溶液中で、8−9分間、ホットプレート上で攪拌しながら消化された。20mLのHAMS F12(LIFE Technologies、米国、カタログ番号 074−90587)(20%NCS(Invitrogen、米国、カタログ番号 16010−167))が、トリプシン処理を停止させるためにその溶液に添加された。つづいて、その溶液はガーゼを通してろ過され、細胞をペレット化(沈殿)するために、50mL管、450×gで遠心分離された。その細胞ペレットは10mLのHAMS F12中で再懸濁され、その細胞溶液は、ヒト単核細胞(Axis-Shield Diagnostics、ノルウェー、カタログ番号 1114545)の精製に適した、既製の、殺菌済みの、そして内毒素検査された溶液である、10mLのLYMPHOPREPTMの上を覆うように加えられ、20分間、710×gで遠心分離された。界面の細胞は回収され、10mLのHAMS培地で一度洗浄された。胎盤マクロファージを使い果たすために、その細胞ペレットは3mLのHAMS中に再懸濁され、ペトリ皿の上に播種され、そして37℃で20分間インキュベートされた。上清中の胎児栄養膜細胞は、600×gで5分間の遠心分離により回収された。] [0038] 胎児栄養膜細胞培養上清の濃度 上記のようにして単離した胎児栄養膜細胞は、RPMI−1640培地+10%のウシ胎仔血清(FCS)中、1×106細胞/mL濃度、37℃で一晩培養された。その上清は回収され、細胞残屑をペレット化(沈殿)するために、遠心ろ過装置CENTRICONR(Millipore, YM-10)に装着される前に1000×gで5分間遠心分離され、そして、2000rpmで約1時間遠心分離された。その容積は、通常、10倍濃度の上清を得るために、原容積の1:10(1/10)に減少させられた。] [0039] 実施例1 脱落膜白血球によって隠されたVEGFの検出を阻害した胎盤栄養膜細胞の共培養 胎盤栄養膜細胞との脱落膜白血球の共培養 脱落膜白血球および胎盤栄養膜細胞が、上記のようにして単離された。RPMI−1640(10%FCS)培地中で培養された、栄養膜(trophoblast)腫瘍細胞株JEGが、陰性対照として使用された。100μLの白血球(3×106細胞/mL)が、100μLの単離された栄養膜有り、もしくは無しで、または陰性対照細胞JEG(1×106細胞/mL)有りで、96ウェル型U底プレートのそれぞれのウェルに播種された。一晩のインキュベーションの後、培養上清が採取され、後のエライザ(ELISA)分析のために−70℃で貯蔵された。貯蔵された各々100μLの上清が解凍され、製造者の取扱説明書に従って、VEGFエライザ分析(R&D、米国、カタログ番号 DY293)に使用された。] [0040] 図1は分析結果を示す:レーン1は、脱落膜白血球によって産生され、VEGFエライザ分析によって培養上清中に検出されたVEGFの濃度を示す。レーン2は、脱落膜白血球が同じ皿(dish)で、単離された栄養膜と共に共培養されたときの、培養上清中のVEGFの消失を示す。陰性対照として、レーン3は、脱落膜白血球が細胞株JEGと共に共培養されたときの、VEGFの存在を説明している。JEG共培養は同じ効果を生じさせないので、VEGF検出の阻害は共培養それ自体によって誘発された作為的な結果ではないことを、これらのデータは示している。その代わりに、それは、単離された栄養膜との共培養に特異的に起因するものである。VEGFの検出に対するこの栄養膜の効果は、また、栄養膜のみの細胞培養からの培養上清を添加することによっても、繰り返すことができた。分析結果は、数種類の可溶性因子が栄養膜による培養上清中に隠され、エライザ分析でのVEGF検出の破壊を引き起こす可能性があることを示した。] 図1 [0041] 実施例2 栄養膜細胞培養の上清中での胎盤可溶性Fms様チロシンキナーゼ1(sFlt1)の検出 sFlt−1、それは最初にヒトの臍帯内皮細胞から精製されたものであるが、それは、インビボ(生体内)で栄養膜細胞によって産生されることが知られている。一例として、胎盤から放出された特定のメタロプロテイナーゼは、Flt−1のN末端部分を血液循環中に放出させるために、Flt−1受容体の細胞外領域を開裂するかもしれない。Flt−1の可溶型(すなわちsFlt−1)は末梢血中で検出することができ、それはVEGFに対して高親和性を持つ配位子である。sFlt−1は、栄養膜共培養によって培養上清中に隠された因子であるのかどうか、そして、図1に示すVEGF検出の破壊を引き起こすのかどうか、を調べるために、次の実験が行われた。] 図1 [0042] ウエスタンブロット分析 20μLの栄養膜上清または純粋なsFlt−1(R&D Systems、カタログ番号 321−FL)が、染料を取り込んだ4μLの6XSDSゲルと混合され、10%SDSポリアクリルアミドゲル(Bio-Rad、カタログ番号 161−1101)中に取り込まれる前に、5分間沸騰された。ゲル化は100Vで1.5時間行われ、100Vで1時間、PVDF膜上にブロットされた。そのブロット(blot)は、0.1μg/mLポリクローナルヤギ抗sFlt−1抗体(R&D Systems、カタログ番号AF321)を含有する、10%ミルク/TBST緩衝液中、室温で2時間インキュベートされた。TBST緩衝液中で3回洗浄した後、第2抗体、ウサギ抗ヤギHRP接合化(conjugated)抗体(Dako Cytomation、カタログ番号 P0499)が、10%ミルク/TBST中、1:2000の希釈度で1時間、ブロットで使用された。3回洗浄後、バンドが、製造者の取扱説明書に従って、ECLキット(GE Healthcare、カタログ番号 RPN2106)を使用して検出された。] [0043] 図2Aは、抗sFlt−1抗体を使用して示す、約110Kdのタンパク質バンドが栄養膜上清中で検出された(レーン1)、ウエスタンブロットである。同じ分子量のバンドもまた、陽性対照中に検出された(レーン2および3、各々異なる量の純粋なsFlt−1タンパク質を取り込んだ)。その結果は、可溶性Flt−1は栄養膜上清中に存在したことを示す。] 図2A [0044] 可溶性Flt−1エライザ分析 栄養膜細胞培養からの100μLの上清が、製造者の取扱説明書に従った、sFlt−1エライザキット(R&D Systems、カタログ番号 DVR100B)の使用による、栄養膜培養物中に存在する可溶性Flt−1の分析のために使用された。図2Bは、栄養膜細胞培養物の上清中の、sFlt−1のエライザ検出結果を示す。レーン1:栄養膜培養物の上清;レーン2:培地のみ。結果は、大量の可溶性sFlt−1が、エライザによって、栄養膜培養物の上清中に検出されたことを示した。] 図2B [0045] 実施例3 sFlt−1によるVEGFの中和 VEGFのエライザ分析 純粋なsFlt−1(1μg/mL)が、PBS緩衝液で連続的に希釈(希釈度1:3)された。10μLの各希釈sFlt−1が、90μLのVEGF(1.1ng/mL;R&D Systems、MN、米国)と混合されて、37℃で1時間インキュベートされた。インキュベーションの後に、100μLの混合物がVEGFエライザに使用された。図3Aは、VEGFエライザ分析における、さまざまな濃度のsFlt−1でのインキュベーション後のVEGFの検出濃度を示す。VEGFとのインキュベーションに使用されたsFlt−1の量は、レーン1〜6それぞれ、10,3,1,0.3,0.1および0ngであった。可溶性sFlt−1は、1ngのVEGFとのインキュベーションの前に10ng〜0.1ngまで連続的に希釈されたので、結果は、十分な濃度のsFlt−1はすべてのVEGFに結合し、VEGFがエライザ分析で検出されるのを阻止することを示している。sFlt−1によるVEGFの中和は用量依存的であった。3ngのsFlt−1が使用されたとき、溶液中のほとんどすべての1ngのVEGFが中和された(レーン2)。] 図3A [0046] 実施例4 VEGF依存HUVECs増殖で破壊された可溶性Flt−1 ヒト臍帯静脈内皮細胞の単離(HUVECs) HUVECsは、Jaffe,E.A.ら(J. Clin. Invest. 52(11):2745−2756,1973年)によって述べられているものにわずかな修正を加えて単離された。手短に、ヒト臍帯が、1μg/mLのフンギゾーネ(fungizone)(Gibco、米国、カタログ番号 15295−017)を含有する150mLのPBS緩衝液に集められた。その臍帯は、殺菌したPBSで洗浄され、損傷を受けた端部が外科用ナイフで切除された。静脈は、臍帯の両端で見つけられ、殺菌したKwill充填管(Avon Medicals、英国、カタログ番号 E910)でカニューレを挿入された。その臍帯は、カニューレ挿入された領域において、殺菌した糸で固く縛られた。臍帯血は、その後、100mLのPBSで洗い流され、そして、20mLのPBSが、二つの20mLシリンジ(注射器)(Becton Dickinson、米国、カタログ番号 300613)間を往復させられて、ゆっくりと洗い流された。臍帯を徹底的に洗い流した後、過剰のPBSが取り除かれた。10mLのコラゲナーゼ溶液(10μg/mL)が添加され(Sigma、米国、カタログ番号 C−9891)、カニューレの端部が塞がれた。その後、臍帯は、PBSの入った予熱されたビーカーに10分間静置された。臍帯中のコラゲナーゼ溶液は、二つのシリンジ(注射器)間を往復させて、ゆっくりと洗い流され、その洗い流し液(flow−through)が50mLの遠心分離管に集められた。次に、臍帯が10mLのメディウム(Medium)−199培地(Sigma、米国、カタログ番号 M−7528)で洗浄され、同じ分離管に入れられた。その分離管は、HUVECsを集めるために、200×gで5分間遠心分離された。細胞が、10mLの内皮細胞成長培地(PromoCell、米国、カタログ番号 C22010)中に再懸濁され、さらなる実験のために、インキュベーター中37℃で培養された。] [0047] VEGF依存HUVEC増殖に対するsFlt−1の効果 上記のように単離されたHUVECsが、2×105細胞/mLでメディウム−199(Sigma、米国、カタログ番号 M−7528)に再懸濁させられ、96ウェルの平底プレート(Becton Dickinson、米国、カタログ番号 353072)に、1ウェル当り50μL入れられた。VEGFは、1μg/mLとなるようにメディウム−199培地で希釈された。sFlt−1によるVEGFの中和は、VEGF(1μg/mL)を等量のsFlt−1(5μg/mL;R&D Systems、MN、米国)と、37℃で1時間インキュベートすることによって達成された。中和後、溶液中のVEGFは、分析培地(M−199+10%FCSおよび10mMHEPES)で、20ng/mLに希釈された。sFlt−1前処理、および希釈されたVEGFが、50μL/ウェルでHUVEC培養物中に添加された。対照として、VEGF(1μg/mL)が、抗VEGF抗体(R&D MAB293、10μg/mL)と、室温下1時間インキュベートされた。対照VEGFまたはsFlt−1前処理VEGFのHUVECs培養物中への添加の後、プレートが、テトラゾリウムベース(based)分析キット(Promega カタログ番号 G3580)を使用して細胞増殖を測定する前に、37℃で3日間インキュベートされた。] [0048] HUVECsの増殖は、VEGFによる刺激への応答を反映する。VEGFの供給がなければ、HUVEC培養物は成長が止まり、次第に死滅するであろう。VEGF刺激に応答するHUVEC増殖は、インビボ(生体内)での血管形成に不可欠であるので、本分析においてVEGF活性の阻害をもたらす試験化合物または組成物は、抗血管形成性性質を有していると考えられ得る。] [0049] 図3Bに示されるように、VEGFを含有する培地で培養されたHUVECs(レーン2)は、VEGFのない基本培地で培養されたHUVECs(レーン1)と比較して、細胞成長の増加を示した。その結果は、培地中に存在するVEGFがHUVECsの増殖を刺激することを示した。sFlt−1前処理VEGF(すなわち、中和されたVEGF)を含有する培地で培養されたHUVECsは、しかしながら、細胞成長の増加を示さなかった。このことは、VEGFが、HUVECs培養物に添加される前に、sFlt−1での前処理によって中和されるために、HUVECs増殖を刺激する活性を失ったことを示した。VEGF刺激に応答するHUVEC増殖は、血管形成に不可欠であるので、HUVECs増殖の刺激において、VEGFを阻害または破壊することによって、sFlt−1は抗血管形成性質を有することを証明した。] 図3B [0050] 実施例5 栄養膜培養上清中で単離された胎盤sCD26 図4は、免疫沈降実験におけるモノクローナル抗体CH15の産生、および産生されたCH15の使用を説明する。] 図4 [0051] 栄養膜培養上清で抗タンパク質モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株の生成 上記のように準備された、10倍に濃縮された栄養膜培養上清が、Balb/cマウスに免疫を与えるために使用された。免疫を与えられたマウスからの脾臓細胞が、ハイブリドーマ(StemCell Technologies、CLONACELLTM−HY、カタログ番号 03800)の生成のために、製造者の取扱説明書に従って、SP2/0細胞に融合された。IgG抗体CH15を産生するハイブリドーマ細胞クローンが識別(同定)された。] [0052] ハイブリドーマ上清からのモノクローナル抗体CH15の精製 ハイブリドーマ細胞培養上清中のモノクローナル抗体CH15が、タンパク質−Aカラムによって精製された。0.5gのタンパク質−Aセファロース粉体(Sigma、米国、カタログ番号 P3391)が、手短に、1mLのPBS緩衝液(pH 7.4)中で水和され、プラスチックカラム(Bio-Rad、米国、カタログ番号 732−1010)に装着された。そのカラムは、10mLのPBS緩衝液(pH 8)で洗浄された。次に、抗体がタンパク質−Aカラムに結合するように、ハイブリドーマ上清が、ゆっくりとタンパク質−Aカラムを通された。その後、タンパク質−Aカラムが、緩衝溶液および100mMのグリシン(pH 3)(Antibodies, Harlow, E. and Lane, D., Cold Springs Harbor Lab Press、p310、1988年)でカラムから溶出された抗体で、数回洗浄された。] [0053] CH15のアガロースゲルへの固定化 上記の精製されたモノクローナル抗体CH15(200μg)が、免疫沈降のために、製造者の取扱説明書(SEIZETM primary immunoprecipitation kit、Pierceカタログ番号 45335)に従ってアガロースゲルに固定化された。図4は、モノクローナル抗体CH15(Mab CH15、カラムの隣)がカラムに固定化されたことを説明する。] 図4 [0054] 栄養膜培養上清中のCH15特定化タンパク質の免疫沈降 図4に示されるように、10倍濃縮栄養膜上清(図4では、Troph supと省略されている)がカラムに取り込まれ、CH15抗体を上清中のCH15特定化因子に結合させるために、4℃で一晩、上述したCH15抗体接合アガロースゲルとインキュベートされた。その後、アガロースゲルが緩衝液で数回洗浄され、溶出緩衝液でタンパク質が抗体接合アガロースゲルから溶出された。] 図4 [0055] CH15免疫沈降タンパク質のポリアクリルアミドゲル上への視覚化 上記の溶出された試料(20μL)が、染料を取り込んだ(loading)ゲル(5μL)と混合され、5分間沸騰させられた。次に、試料が10%SDSポリアクリルアミド(SDS−PAGE)ゲルに取り込まれ、2mMのメルカプト酢酸(Sigma、米国、カタログ番号 T−6750)を含むトリス−グリシンン緩衝液(Current Protocols in Molecular Biology、Wiley Press、p A.2.5、1996年)中で、100Vで1.5時間、電気泳動が行われた。ゲル電気泳動の後に、ゲル中のタンパク質が、CAPS緩衝液(19mM CAPS(Sigma、米国、カタログ番号 C−4142)、5mM DTT(Sigma、米国、カタログ番号 D9163)、10%メタノール、(pH11))中で、50Vで1時間、PVDF膜(Bio-Rad、米国、カタログ番号 162−0185)にブロットされた。ブロッティング(blotting)の後に、その膜は、CH15によって免疫沈降されたタンパク質を視覚化するために、製造者の取扱説明書に従って、クマシーブルーR−250(Bio-Rad、米国、カタログ番号 161−0435)で染色されるか、または銀染色(Bio-Rad、米国、カタログ番号 161−0449)によって染色された。] [0056] 図4は銀染色によって視覚化されたタンパク質バンドを説明している。レーン1〜3は抗体接合アガロースゲルからの溶出留分である。レーン4〜6は陰性対照からの溶出留分である。染色後、約110kDa(レーン1−3、97Kd標識バンドのわずかに上に位置する)のタンパク質バンドが、切り取られて、配列が決定された。110Kdまでの免疫沈降バンドのアミノ酸配列(NKGTDDATADSR・・・)(SEQID NO:1)はsCD26の配列と一致した。] 図4 [0057] 栄養膜上清中に存在する胎盤sCD26の同定 アミノ酸配列データは、免疫沈降タンパク質が胎盤CD26の可溶型であったことを示す。その結果は、胎盤sCD26は培養された栄養膜細胞の上清中に存在し、SDSページ(PAGE)ゲルのCH15によって免疫沈降されたことを示した。] [0058] 上記開示は、ヒト胎盤栄養膜細胞からsCD26の一つの形をどの様に得てそして同定するかを説明している。可溶性CD26の異なる形もまた報告された。例えば、正常なヒト血液中に見い出されるsCD26は、その胎盤対応物より10残基短いアミノ酸配列を有する。組み換えタンパク質型中の可溶性CD26は、R&Dシステムズ(ミネアポリス、米国)のような商業的供給源から得られ得る。] [0059] ヒト血液CD26は、二つの120kDaサブユニット(Mentlein, R., International Review of Cytology、235:165−213、2004年)からなる、240kDaのホモ2量体タイプII膜糖タンパク質である。それはまた、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPPIV)としても知られている。膜結合性糖タンパク質として、それは、種々の生物学的に重要なペプチドの活性の調節を含む、種々の機能的性質を有する(Dangら、Histol. Histopathol.、17:1213−1226、2002年)。CD26は、種々の細胞型、特に、メラニン細胞、上皮細胞、内皮細胞およびリンパ球に発現されて見い出された。] [0060] ヒト血液sCD26、それは、その対応物の膜結合性CD26と比較して最初の38残基が欠如しており、膜CD26からの開裂生成物であると仮定された(Iwaki-Egawaら、J. Biochem.(東京)124;428−433(1998年))。] [0061] ヒト胎盤sCD26も同様に、胎盤膜CD26からの開裂生成物で、胎盤膜結合性CD26と比較して最初の28残基が欠如している。そのために、ヒト胎盤sCD26は、ヒト血液sCD26と比較して、そのN末端において追加の10アミノ酸を持っている。図5Aは、ホモ2量体膜結合性タンパク質としての胎盤膜CD26を説明しており、それは、開裂されて(二つの矢印で示されるように)、ホモ2量体胎盤sCD26を生じさせ得る。] [0062] 文献調査によって、最後から2番目の位置にL−プロリンまたはL−アラニンを持つポリペプチドにおいて、sCD26はNH2末端ジペプチドを開裂することが報告されていることが見い出された(Fleischer, Immunol Today 15;180−184(1994年))。多くの生物学的に活性なポリペプチドがこの配列を持っている。例えば、IL−1β、IL−2、IL−6およびG−CSFのような多くのサイトカインにおいて、プロリン残基は最後から2番目の位置に存在する(Ansorgeら、Biomed Biochim Acta 50;799−807(1991年))。図5Aは、最後から2番目の位置にL−プロリンを持つポリペプチドにおいて、sCD26がアミノ末端ジペプチドを開裂することを説明している。] [0063] 研究は、免疫調節におけるT細胞活性化信号を伝達することができる構造としての役割、およびその生物学的因子の開裂を通した生物学的過程の調節因子としての役割を含む、多くの生理学的役割をsCD26は持つことを示した。T細胞の活性化は、局所的な化学伝達物質として働く種々の分泌型インターロイキンを含む複雑な過程である。活性化は、T細胞が未知の手段により、一つまたはそれ以上のインターロイキンを分泌するための抗原提示細胞によって刺激されたとき、始まると考えられている。インターロイキン2(IL−2)は、抗原によって活性化されたTリンパ球により産生されるタンパク質である。IL−2は、活性化し、そして区別するために他のリンパ球を刺激する。IL−2は、T、Bおよびナチュラルキラー細胞の活性化のために必要とされる中心的なサイトカインである(Tenbrockら、Int Rev Immunol.、23(3−4);333−345、2004年)。] [0064] ヒトIL−2は、いかなる他の因子に対しても配列相同性を示さない、わずかに塩基性のpIを持つ、アミノ酸133(15.4kDa)のタンパク質である。マウスおよびヒトのIL−2は、約65%の相同性(相同関係)を持つ。IL−2は、疎水性分泌シグナル配列として機能する最初の20アミノ末端アミノ酸を持つ、アミノ酸153の前駆体タンパク質として合成された。そのタンパク質は、Cys58およびCys105の位置に、生物活性に必須の単一のジスルフィド結合を含んでいる。] [0065] IL−2は、ヒト免疫システムにおける、炎症促進(pro−inflammation)サイトカインであることが技術的に良く知られている。炎症性疾患及び免疫病において、IL−2が果たす病理学上の多数の例が存在する。例えば、IL−2産生のレベルは、多発性硬化症を患う患者で変化し、全身紅斑性狼瘡(全身性ループスエリテマトーデス)を患う患者で減少する(Dejica D.、Rorum Arch Microbiol Immunol.、60(3):183−201,2001年; Herndonら、Clin. Immunol.、103(2)、145−53,2002年; Tenbrockら、Int Rev Immunol.、23(3−4):333−45,2004年)。IL−2活性を変化させることができる分子の開発は、自己免疫疾患及び炎症性疾患の治療に有用であろう。多くのサイトカインが、最後から2番目の位置でプロリン残基を含むため、IL−2上の胎盤sCD26は、さらに研究され、実験が次のように説明された。] [0066] 実施例6 CTLL−2細胞増殖の刺激におけるsCD26が破壊したIL−2活性 胎盤可溶性CD26の精製 PBSで洗浄された胎盤組織のすべてのグラム(gram)に対して、4mLのRPMI−1640(w/oFCS)が添加され、その組織は、上清が採取される前に、37℃で3−4日間、インキュベーターでインキュベートされた。崩壊物を取り除くために、上清が、700×gで5分間、遠心分離された。溶液中の可溶性CD26が、公開された方法(de Meesterら、J Immunol Methods.;189(1):99−105,1996年1月16日)にしたがって、ADA(Sigmaカタログ番号 A6648)カラムを通して精製された。精製されたsCD26は、30mLの2mMのトリス(Tris)(pH8)でカラムから溶出され、セントリコンプラス−70(Centricon Plus−70)(Amicon、カタログ番号 UFC701008)装置を使用して3mLまで濃縮され、そして、次の使用のために、一定分量が4℃で貯蔵された。精製および濃縮されたsCD26は、その後、次の試験のために使用された。] [0067] 天然(native)N末端を持つヒトIL−2の産生 商業的に利用可能なIL—2の大部分はバクテリアから生産され、そのため、タンパク質のN末端は、その上を、余分なアミノ酸メチオニン(M)で変性される。メチオニン−N末端IL−2は、sCD26はタンパク質の正確なN末端アミノ酸配列を認識するだけであるので、可溶性CD26の機能の研究に対して理想的な基質ではない。したがって、我々は、後の精製目的のために、ヒトIL−2遺伝子を、C末端にフラッグタグ(Flag−tag)でプラスミドベクター中にクローンし、組み換えベクターを真核細胞株BaF3中へトランスフェクト(transfect)した。IL−2を生産した安定なクローンが同定され、大量に成長させられた。IL−2は、上清中で生産および濃縮され、その後、次の実験で使用された。] [0068] CTLL−2細胞増殖分析 CTLL−2(ATCC,TIB214)細胞株は、構成的にIL−2受容体を発現し、細胞成長に対して、外因性IL−2の存在に完全に依存する。CTLL−2細胞が、CTLL−2細胞増殖の刺激における、IL−2活性へのsCD26の効果を分析するために使用された。CTLL−2細胞増殖の刺激におけるIL−2活性が、OD490で吸光度を測定するための細胞増殖キットを使用することによって、分析された。実験の前に、CTLL−2細胞(0.1×106細胞/mL)がRPMI−1640で2度洗浄され、96ウェルプレートに50μL/ウェルで、採取された。上記のように生産されたIL−2は、1μLの濃縮IL−2上清と、20μLの精製、濃縮されたsCD26とを混合することによって、上述した胎盤細胞培養上清から精製されたsCD26で、1時間37℃で前処理された。処理の後、IL−2は、50μLに調整され、50μL/ウェルで0.1×106/mLのCTLL−2細胞と混合された。細胞培養物は、OD490(Promega、カタログ番号 G3580)で細胞増殖を測定する前に、37℃で3日間インキュベートされた。] [0069] 図5Aは、可溶性CD26が、モチーフXPを含むポリペプチドを認識でき、その後、ペプチド結合を開裂できることを説明する。図5Bは、IL−2が、sCD26によって認識されることができるモチーフAP(アラニン−プロリン)と共に、アミノ酸配列APTSSSTKK...(SEQID NO:2)を含むことを説明する。] 図5A 図5B [0070] 図6は、細胞株CTLL−2の増殖が、増殖培地においてIL−2に依存したことを説明する。外因性IL−2の供給が無いと、IL−2を含む培地と比較して(レーン1)、CTLL−2細胞株は成長を止め、急速に死滅した(レーン2)。上述した精製および濃縮sCD26でのIL−2の前処理は、CTLL−2細胞増殖の刺激において活性を失ったように、IL−2不活性を生じさせた(図6、レーン3)。ヒト免疫システムにおいて、IL−2は炎症促進(pro−inflammation)サイトカインであるので、可溶性CD26は、そのIL−2活性阻害により、炎症抑制剤として有用であり得る。] 図6 [0071] 実施例7 妊婦からの血清によるVEGFの中和 7人の妊婦からの血清が前述のように集められた。100μLの血清が、VEGFエライザ分析(図7、群3)を行う前に、1ngのVEGFと37℃で2時間インキュベートされた。7人の男性および5人の非妊娠女性からの血清が同様に集められ、同じ実験で対照群として使用された(図7、各々群1および2)。図7に示すように、妊婦の血清のみが、溶解性因子(すなわちsFlt−1)の存在のためにVEGFの検出を妨害した。] 図7 [0072] 実施例8 妊娠中の血中sFlt−1濃度(レベル)の増加 血清sFlt−1濃度(レベル)の測定 10mLの血液が、各ボランティアの献血者から採取された。血液は、3mLのLymphoprepTM(Axis-Shield 英国、カタログ番号 1114545)の上を覆うように加えられ、700×gで20分間、遠心分離された。最上層の血清が採取され、一定分量が、その後のエライザ分析のために−70℃で貯蔵された。血清中の可溶性Flt−1の量が、sFlt−1エライザキット(R&D Systems、カタログ番号 DVR100B)を使用し、製造者の取扱説明書に従って測定された。] [0073] 図8Aは、5被検者の血清試料からのsFlt−1の平均量を説明する。レーン1:妊婦;レーン2:非妊娠女性;レーン3:男性。その結果は、非妊娠女性および男性の血清(レーン2および3)と比較して、妊婦の血清(レーン1)のみから顕著な量の可溶性Flt−1が検出されたことを示す。] 図8A [0074] 図8Bは、妊娠20週(レーン1)、妊娠30週(レーン2)および出産後10週(レーン3)の妊婦からの血清中のsFlt−1濃度(レベル)を説明する。その結果は、血清中の可溶性Flt−1の濃度(レベル)は、妊娠期間中に増加し、出産後約3ヶ月で消滅したことを示す。] 図8B [0075] 血管形成は、炎症性関節炎、乾癬、アテローム性動脈硬化症、ならびに腫瘍増殖および転移の進行にも関係していた。病理学上の血管形成は、癌、種々の虚血性疾患および炎症性疾患の顕著な特徴である。血管形成は、腫瘍増殖および転移において極めて重要である(Keith Dredgeら、Current Opinion in Investigational Drugs. 4(6):667−674、(2003年))。新血管の成長は腫瘍進行の重要なプロセスである。それは、過形成から新生組織形成への遷移、すなわち、腫瘍細胞の細胞増殖の状態から非制御の増殖特性の状態への経過に、有利に働く。新血管形成もまた、結局は転移形成に至る、全身至る所への癌細胞の播種に影響を与える。すべての癌の90%は、固形腫瘍であり、それゆえ、それらの増殖を支える血管形成に依存する。原発腫瘍の切除は、しばしば、体の血管形成バランスの全身的障害によって引き起こされた転移に付随して起こることが同様に示された。これらすべての標準的な治療は、前血管相(prevascular phase)において潜伏期の腫瘍を制限するであろう併用療法から利益を得ることができた。] [0076] がんと闘う方法として、新血管形成を阻害することが示唆された。悪性組織は、酸素と栄養の供給を奪われ、および代謝廃棄物を排除することもできなくなると考えられる。このことがひいては、ほとんどの進行癌を伴う腫瘍進行および転移進行を阻害するであろう。血管形成過程を中断することができる5つの主要なステップがある:(1)bFGF(塩基性線維芽細胞増殖因子)およびVEGF(血管内皮増殖因子)の様な内因性血管新生因子の阻害;(2)血管の基底膜の分解に関与する分解酵素(マトリクスメタロプロテイナーゼ)の阻害;(3)内皮細胞増殖の阻害;(4)内皮細胞遊走の阻害;および(5)内皮細胞の活性化と分化の阻害。] [0077] VEGFの中和は、癌治療のための戦略として使用された。例えば、モノクローナル抗体である新薬AVASTINTMは、血管内皮増殖因子(VEGF)と結合し、その血管内皮増殖因子の活動を阻害することによって効く。VEGFは、新血管形成を刺激するある細胞上の、その受容体に結合する物質である。VEGFがAVASTINTMによって束縛されるとき、それは、新血管の形成と増殖(成長)(血管形成)を刺激することができない。AVASTINTMは、化学療法の効果を増進するが、結腸直腸癌患者にそれ単独で与えられるときは、それほど効果的であるとは思われない。] [0078] 本発明は、とりわけ、可溶性Flt−1がVEGFを中和できることを開示する。抗VEGFまたは抗血管形成は、血管形成に依存する癌の治療に有用であることが証明されたので、sFlt−1は、そのVEGF中和活性によって、その増殖が血管形成に依存する癌または腫瘍の治療に役立ち得る。] [0079] 炎症もまた、癌に関与していた。慢性炎症は癌の発現に関連付けられた。初期のおよび持続性の炎症反応は腫瘍発現の多くの局面を制御する新生物の発現で、または発現中に観察された(Leon C.L.ら、“Inflammation, proteases and cancer.” European Journal of Cancer, Vol.42,Issue 6、p.728−734)。腫瘍発現のすべての3段階での炎症作用:開始、進行および転移。炎症は、血管系に、炎症細胞および因子の組織環境への開放を警告する種々のサイトカインおよびケモカインの開放を引き起こすことによる開始に寄与し、それによって、微小環境における酸化的損傷、DNA突然変異および他の変化を生じさせ、生存と増殖が増加した細胞形質転換をより一層促す。さらに、慢性炎症と癌の間には強い関連性がある。炎症の重要性の認識は、すでに、癌予防と治療のために抗炎症薬(例えば、COX−2阻害剤)の臨床試験につながった((米)国立癌研究所、癌生物学部、“Executive Summary of Inflammation and Cancer Think Tank.”[2007−11−17から検索された]。インターネットから検索された:<URL: http://dcb.nci.nih.gov/thinktank/Executive_Summary_of_Inflammation_and_Cancer_Think_Tank.cfm>)。] [0080] 血管形成はまた、炎症または炎症性疾患に関連付けられる。血管内皮増殖因子(VEGF)は、関節リウマチ(RA)の血管形成過程において、中心的な関与を持つことが示された。VEGFの血管透過性因子としての付加的な活性はまた、関節リウマチで浮腫、したがって関節膨張を増加させるかもしれない。いくつかの研究が、関節炎の動物モデルにおいて、血管形成を標的とすることにより病気が改善することを示した(PaleologEM. Arthritis Res. ;4 Suppl 3:S81−90,2002年)。sFlt−1は抗血管形成/抗VEGF活性を有するので、それはまた、癌に関連付けられる、関節リウマチ含む炎症性疾患および慢性炎症において、血管形成の度合いを減少させるのに有用であり得る。] [0081] 妊娠が、免疫学的変化を誘発することが報告された。種々のホルモン変化および免疫学的変化が、拒絶から半同種異系(semi−allogenic)胎児を保護するために、妊娠によって誘発された。妊娠によって誘発された、変化した免疫調整の全身的な効果は、関節リウマチおよび他の自己免疫疾患の活性に影響を与える。妊娠は、関節リウマチ患者の75%において、病気活性の改善または鎮静さえ誘導する。妊娠中に生じる炎症性サイトカイン阻害剤の循環の増加は、関節の炎症において有効な抗炎症薬としての役割を果たすことができる。炎症性サイトカインの中和が鎮静の鍵であり得るということはありそうなことである(Ostensn M., Villiger PM, "Immunology of Pregnancy-pregnancy as a remission inducing agent in rheumatoid arthritis." Transpl Immunol.;9(2−4):155−60,2002年5月)。] [0082] 本発明は、とりわけ、可溶性Flt−1が妊娠中にのみ大量に検出されたことを記載する。VEGFが関節リウマチに関与し、sFlt−1がVEGFを中和できるので、妊娠中の血清sFlt−1濃度(レベル)の増加は、妊娠中に関節リウマチの鎮静に寄与する一つの因子である可能性が高い。さらに、sCD26は栄養膜細胞によって生産され、それは、インターロイキンの様な炎症性サイトカインを順番に中和し得、それによって、妊娠中の関節リウマチの鎮静にさらに寄与する。] [0083] 可溶性CD26/DPPIVは、T細胞活性化分子およびケモカイン機能調整剤として、免疫調整において必須の役割を有する。sCD26が、抗原提示細胞へのその効果を経て、リコール抗原へのT細胞応答の増進効果を発揮し得ることが示唆された。研究は、sCD26が単球中に運ばれ、タンパク質およびmRNAレベルの両方において、そのDPPIV活性を通して単球上にCD86の発現を上方に調節することを示した。したがって、sCD26、特にそのDPPIV酵素活性は、抗原提示細胞へのその直接効果を通して、リコール抗原へのT細胞免疫応答を増進することが示唆された(Dang and Morimato, Histol Histopathol. 17:1213−1226(2002年))。臨床研究は、関節リウマチ患者のDPPIV/CD26の血漿中濃度(レベル)は、変形性関節症患者のそれと比較したとき、顕著に減少したことを示した(Nathalie Bussoら、American Journal of Pathology, Vol.166、No.2,433−442(2005年))。] [0084] 本発明は、とりわけ、sCD26が栄養膜細胞によって産生されることを開示する。さらに、本発明は、sCD26がIL−2の様なインターロイキンを阻害できることを開示する。それゆえに、sCD26は、癌、関節リウマチおよび他の炎症性疾患を含む病気の抗炎症に対して、それに加えて、上述したそのT細胞活性化活性に対して有用であり得る。] [0085] 引用されたすべての参考文献は、参照することによりその全部がここに含まれる。] [0086] 本発明の例示的な実施形態の上記記述は、説明および記述の目的のためにのみ提示され、それが網羅的であること、または本発明が開示された正確なその形に制限されることを意図するものではない。上記教示を考慮して、多くの変更および変化(バリエーション)が可能である。] [0087] この実施形態および実施例は、他の当業者が本発明および種々の実施形態を、意図された特定の使用に適するように種々変更して利用できるように、本発明の本質とそれの実用的な応用を説明するために選択され、そして記述された。他の実施例は、本発明の精神と範囲から逸脱することなく、本発明の分野と関係のあるこれらの当業者に明白になるであろう。したがって、本発明の範囲は、上記の記述、およびそこに記載された例示的な実施形態よりむしろ添付の特許請求の範囲によって定義される。] 実施例 [0088] 特許、特許出願および種々の出版物を含み得るいくつかの参考文献は、本発明の記載に引用され、論述される。そのような参考文献の引用および/または論述は、ただ単に、本発明の記載を明確にするために提供されたものであり、そのいずれの参考文献も、ここに記載した本発明が従来技術であると自白するものではない。本明細書で引用および論述されたすべての参考文献は、参照することによりその全部がここに含まれ、各参考文献が個々に参照することにより援用されるように、その同じ範囲で含まれる。]
权利要求:
請求項1 VEGFに関連した血管形成および/または炎症性サイトカインに関連した炎症に関連付けられる病気を治療する方法であって、前記治療により利益を受け得る哺乳類の被験体に、(a)治療に有効な量のsCD26、(b)治療に有効な量のsFlt−1、および(c)製薬的に受容できる担体、を含む医薬組成物を投与するステップを有する、VEGFに関連した血管形成および/または炎症性サイトカインに関連した炎症に関連付けられる病気の治療方法。 請求項2 前記病気は、腫瘍性疾患および炎症性疾患からなる群より選択される、請求項1に記載の病気の治療方法。 請求項3 前記炎症性疾患は、関節リウマチ、黄斑変性症、乾癬および糖尿病性網膜症からなる群より選択される、請求項2に記載の病気の治療方法。 請求項4 前記腫瘍性疾患は、固形腫瘍、腫瘍進行、腫瘍転移および前血管相(prevascularphase)の潜伏期腫瘍からなる群より選択される、請求項2に記載の病気の治療方法。 請求項5 細胞へのVEGFおよび/または炎症性サイトカインの生物活性を阻害する方法であって、前記細胞に、(a)有効量のsCD26、および(b)有効量のsFlt−1、を含む組成物を投与するステップを有する、細胞へのVEGFおよび/または炎症性サイトカインの生物活性を阻害する方法。 請求項6 前記細胞は、VEGFおよび/または炎症性サイトカインの前記生物活性の阻害から利益を受け得る哺乳類の被験体中に存在する、請求項5に記載の生物活性を阻害する方法。 請求項7 前記炎症性サイトカインは、N末端モチーフXP(N−terminalmotifXP)を含み、Xはアミノ酸、およびPはプロリンである、請求項5に記載の生物活性を阻害する方法。 請求項8 前記炎症性サイトカインは、IL−2である、請求項7に記載の生物活性を阻害する方法。 請求項9 前記細胞は、VEGFおよび/または炎症性サイトカインの前記生物活性の阻害から利益を受け得る哺乳類の被験体中に存在する、請求項5に記載の生物活性を阻害する方法。 請求項10 前記哺乳類の被験体は、VEGFおよび/または炎症性サイトカインの前記生物活性に関連付けられる、および/または前記生物活性によって進行させられる病気を患っている、請求項9に記載の生物活性を阻害する方法。 請求項11 前記病気は、腫瘍性疾患および炎症性疾患からなる群より選択される、請求項10に記載の生物活性を阻害する方法。 請求項12 前記病気は、関節リウマチ、黄斑変性症、乾癬および糖尿病性網膜症からなる群より選択される、請求項10に記載の生物活性を阻害する方法。 請求項13 前記病気は、固形腫瘍、腫瘍進行、腫瘍転移および前血管相(prevascularphase)の潜伏期腫瘍からなる群より選択される、請求項10に記載の生物活性を阻害する方法。 請求項14 治療により利益を受け得る哺乳類の被験体の、炎症性サイトカインの生物活性に関連付けられる、および/または前記生物活性によって進行させられる病気を治療する方法であって、前記哺乳類の被験体に、(a)治療に有効な量のsCD26、(b)治療に有効な量のsFlt−1、および(c)製薬的に受容できる担体、を含む医薬組成物を投与するステップを有する、治療により利益を受け得る哺乳類の被験体の、炎症性サイトカインの生物活性に関連付けられる、および/または前記生物活性によって進行させられる病気の治療方法。 請求項15 前記病気は、増加したインターロイキン活性に関連付けられる、請求項14に記載の病気の治療方法。 請求項16 前記病気は、増加したIL−2活性に関連付けられる、請求項15に記載の病気の治療方法。 請求項17 前記病気は、腫瘍性疾患および炎症性疾患からなる群より選択される、請求項14に記載の病気の治療方法。 請求項18 前記病気は、固形腫瘍、腫瘍進行、腫瘍転移および前血管相(prevascularphase)の潜伏期腫瘍からなる群より選択される、請求項17に記載の病気の治療方法。 請求項19 (a)有効量のsCD26および(b)有効量のsFlt−1を含む組成物。 請求項20 (c)治療に有効な量のsCD26と、(d)治療に有効な量のsFlt−1と、および(e)製薬的に受容できる担体と、を有する、治療により利益を受け得る哺乳類の被験体の、VEGFに関連した血管形成および/または炎症性サイトカインに関連した炎症に関連付けられる病気を治療する医薬組成物。
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引用文献:
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